── シーンの“次”を作ろうとする21歳の声、名古屋から。
「正直、前は“名古屋を背負う”とか、あんまり考えてなかったっすね。」
そう口にするRezis Walkerは、地元・名古屋で生まれ育ち、
今まさにその場所を「音」に変えている。
EP『Prologue』をリリースしたのは、彼がそんなふうに心境を切り替え始めたタイミングだった。
「名古屋のワードとか、最近の曲にはちょっとずつ入れるようにしてるっす。
ここ1年くらいで、地元のラッパーが固まってきてて、
“みんなで上がろうぜ”っていう空気ができてきたんですよね。」
もともとは、東京のラッパーや仲間と制作することが多かったという彼。
だがいま、目を向けているのはすぐ隣の“声”や“空気”だ。
遊び仲間だった地元のやつがラップを始め、
以前は交わらなかったアンダーグラウンドの連中とも自然に繋がっていく。
「気づいたら、俺も“名古屋っていう地盤”をちゃんと持ちたいと思うようになってた。
俺は今、地元に背中を預けてる感じっすね。」
EPのタイトルは『Prologue(序章)』。
本命である次のアルバムに繋がるこの一作は、
まだ“誰も知らないRezis Walkerの物語”が、ようやく始まったことを告げている。

── 無意識だった“地元”が、今じゃ背中を預ける場所になった。
「生まれも育ちも、ずっと名古屋なんすよ。」
そう語るRezis Walkerだが、かつては地元に強い意識を持っていたわけではなかった。
東京のアーティストと制作を重ね、名古屋のことをリリックに織り込むこともなかった。
「当時は“レペゼン名古屋”って気持ち、マジでなかったっすね。
名古屋のラッパーと絡むことも少なかったし、音に名古屋を出すこともしてなかった。」
だけど、空気は変わった。
ここ1年で、名古屋のアンダーグラウンドが自発的に動き出した。
「昔からの遊び仲間がラップ始めたり、
今まで繋がってなかった地元の連中とも自然に関わるようになってきて。」
すると、名古屋という街が意識せずとも音楽に滲むようになった。
「最近の曲には、地名とか、空気感とか、
そういうのが無意識に出るようになってきてるっすね。」
それは“地元を背負う”という表明ではなく、
今、自分がどこに立っているかを自然と刻むような感覚だ。
「今は、ちゃんと“地盤”として名古屋に背中を預けてる感じ。
地元のみんなで、マジで上がっていきたいって思ってます。」
言葉にせずとも、地元はもう彼の背中を支えている。
その街の中で、音を鳴らし、声を放ち、仲間と共に進んでいく――
それが、今のRezis Walkerの“現在地”だ。

── 名前に意味なんていらなかった。けど、今はもう“Rezis”で通ってる。
「“レジスウォーカー”って名前つけたの、たしか3年前っすね。
音楽をちゃんと始めようと思ったくらいのタイミングで。」
きっかけを尋ねると、彼は少し笑いながら答える。
「……マジで、“レジス”ってなんでつけたか、覚えてないっす(笑)。
ノリっすね、ほんと。響きとか。」
“ウォーカー”のほうは覚えていた。
大好きな『スター・ウォーズ』から取った、アナキン・スカイウォーカーの“響き”。
「アナキン・スカイウォーカーが好きだったんで、
そこだけ残して、“前半どうしよっかな〜”って思って、
テキトーに“レジス”ってつけたんすよ。だから、深い意味とかはまったくない。」
けど今は、それでよかったと思っている。
今では、後輩には“レジスくん”、仲間には“レジス”と呼ばれるようになった。
音楽の現場でその名前が呼ばれるたびに、意味のなかった言葉が、誰かの記憶に残る名前へと変わっていく。
それは、ただのネーミングではない。
Rezis Walkerという一人の青年が、音と人生を通じて築き上げた、“Rezis”という存在そのものだ。

── “バカばっかやってたガキ”が、音に導かれていった。
「小学生のときとか、ほんとに“うるさいガキ”だったと思います(笑)。
クソ生意気で、ずっとうるさくて。悪ガキっていうより、なんかとにかく“うるさいやつ”。」
Rezis Walkerはそう言って笑った。
悪さをしてたわけじゃない。
でも、どこにいても目立っていた。
「友達と毎日バカなことやってました。中学までずっとそんな感じでしたね。」
そんな彼にとって、“音楽”なんてものは、自分とはまったく縁のないものだった。
だが、中学1〜2年の頃、ある“衝撃”が訪れる。
「ちょうど“高校生ラップ選手権”がめっちゃ流行ってて。
それ見て、“え、こんな世界あるんや!”って思ったのが、HIPHOPとの最初の出会いっすね。」
そこからは、自然とハマっていった。
「最初はバトルも見てたけど、すぐに“曲”の方が面白くなってきて。
ヒップホップって、マジで色んなタイプの音楽があるんやなって気づいてから、もうずっと聴いてた。」
最初に聴いたのはWiz Khalifa。
だが、彼自身は「あんま影響受けてないっす」と笑う。
その頃はただ、“ヒップホップってどんなもんなんだろ”という好奇心だけだった。
本当の“入り口”は、XXXTENTACIONだった。
「たしかWiz Khalifaとかにすぐ飽きちゃって(笑)、
そのあと、XXXTENTACIONを知ったんすよ。」
そのときの衝撃は、今もはっきり覚えている。
「“LOOK AT ME”とか聴いて、“この人やばいな”ってマジでぶちくらって。
テンタシオンって、ただハードな曲だけじゃなくて、
“HOPE”とか“Save Me”とか、めっちゃ切ない曲もあるじゃないですか。」
そこでRezisは、“ヒップホップって感情を吐き出す音楽なんだ”と知る。
「“あ、ヒップホップって色んな正解あるんや”って初めて知って。
それが、俺にとって一番大きかった気がします。」
衝動だった。けど、その衝動はだんだんと形を持ち始める。
音楽は“聴くもの”から、“やるもの”へ。
そして気づけば、それが生活の中心になっていた。
「ヒップホップって、ライフスタイルなんすよね。
気づいたらもう、そこにどっぷりって感じです。」

── “壊れかけてた頃の自分”を、音に閉じ込めた。
「2023年、マジでクソジャンキーな1年だったんすよ。」
そう語るRezis Walkerの声には、どこか笑い混じりの諦めと、確かな熱があった。
ファースト的な位置づけとなったAlbum『BATS DON’T SLEEP』。
彼はこの作品を、まるで「過去を封印するカプセル」のように作った。
「当時、ほんとやばい生活してて。
もう摂取するもんも含めて全部終わってた。
遊んで、作って、摂って、寝て、また起きて作って……その繰り返し。」

そんな状態の中で自然と出来上がったAlbumは、
彼の言葉を借りれば「生活をそのまま作品にした」ものだった。
「タイトルも“BATS DON’T SLEEP”やし、もう俺のライフスタイルそのままって感じ。
ジャケットも、“この生活を絵にしてくれ”ってGeloge君(ジャケットアーティスト)にお願いして。
だからもう全部、リアルなんすよね。」
この作品での“やんちゃなリリック”や暗いムードは、
パフォーマンスじゃない。生のドキュメントだった。
── セラピーとしての音楽。生きるために作るということ
「2024年は、マジでひたすら作ってました。
それ以外のこと、あんま覚えてないくらい。」
Rezis Walkerがアルバム『UNDER GOAT』について語るとき、
そこには単なる達成感や作品愛を超えた、もっと切実なものが滲んでいる。
「もう“生活として曲を作る”って感じでした。
音楽がセラピーみたいになってて、自分のメンタルを安定させるために作ってたっす。」
彼にとって制作とは、表現ではなく“命綱”だった。
「普通の人が“ご飯食べないと死ぬ”みたいな感覚あるじゃないですか?
俺にとっては、曲作らないと死ぬって感覚で。
ほんと、そんな感じで毎日作ってましたね。」
思いつめたように、ただひたすら曲を打ち込み、録音し、没にし、また作る。
そうして気づけば膨大な楽曲が手元にあった。
「結構曲が溜まって、“これ、まとめてちゃんと出したいな”って思い始めて。
『BATS DON’T SLEEP』はその前の、まだジャンキーな自分を写したEPだったけど、
『UNDER GOAT』はもうちょっと“立ち直っていく途中”を映してる感じっす。」

17曲収録された『UNDER GOAT』は、彼が“意識して初めて作ったフルアルバム”。
没にした曲も大量にあるというが、それは“その日の精神状態”に合わなかったから。
「自分の曲、賞味期限早いんですよ。
昨日好きだったやつが、今日になると“これ違うな”ってなる。
だからほんと、“今の自分”をその都度ぶつけて、それが残ったやつだけを並べてる感じ。」
アルバムを作ること自体が、セラピーだった。
制作そのものが“回復の行為”であり、過去との決別でもあった。
『UNDER GOAT』のラストに収録された「Hide And Seek」。
その冒頭には、こんな一節がある。
「19歳はsuicide あの頃と比べりゃまだ良い」
このラインは、飾りじゃない。
実際にRezis Walkerが命を絶とうとした過去を、そのままリリックにしたものだ。
「19歳のとき、ほんとに落ちるとこまで落ちちゃって。
それで、“こんなことやったら友達に怒られるやろ”みたいなやり方で……死のうとしちゃって。」
彼は2〜3日間、意識を失った。
その最中──たまたま音楽仲間であるJjerry Sullivanの誕生日と重なっていた。
「目が覚めて携帯見たら、
そのJjerry Sullivanから、
何十件もLINEと電話が入ってて。
“なんで誕生日やのに、俺のことそんなに心配してくれるん”って思った。」
その瞬間、自分が“恵まれてること”にも気づけてなかったと痛感した。
「大切な人が、ちゃんといるのに。
それを無視して、自分のことばっかでいっぱいになってたんすよね。」
あの日を境に、彼の中で“死”に対する意識が変わった。
「もう逃げるんじゃなくて、
ちゃんと向き合って、歌詞にしていこうって思った。
そっからは、自分のセラピーとして音楽をやってるって感覚が強くなってます。」
「19歳はsuicid」という言葉は、過去の痛みの記録であると同時に、
いまRezisがまだここにいる理由そのものでもある。
“語りたくない過去”を“歌える現在”へと変えていく。
その行為自体が、彼にとってのリカバリーであり、
そしてその音が、誰かにとっての“救いの合図”になるかもしれないと、彼は信じている。

「幸せな夜を超えた朝はraining 帰り道何も残ってないこの手に」
「これも、マジで自分が落ちてた時に書いたラインっす。」
Rezis Walkerが“自分で書いた中で一番のパンチライン”として挙げたのは、
アルバム『UNDER GOAT』14曲目「Scared of love」の冒頭ライン。
幸せだった一夜を超えた朝、
現実にはもう何も残っていない。
薬や遊びで一瞬だけ現実から逃げた帰り道、雨が降っていて手にはなにも残ってない。
「仲間とパーティして、その瞬間だけは全部忘れられるんですけど、
帰り道って絶対一人じゃないですか。
そのときに“あれ、結局何も変わってないし、何も解決してない”って気づくんすよ。」
一過性の快楽では満たされない孤独。
雨の中、残ったのは空虚さだけ――。
そんな“感情の余韻”を、音とリリックで完璧に描ききったと、本人も自負している。
さらに同じ曲のライン、
「変えたわけじゃないのに、ヤケに広くなった俺のベッド」
についても、
「ずっと一緒に寝てた子がいなくなって、1人になった時に感じる虚しさ。
それをそのまま書けたのが、このフレーズ。」
と話しており、Rezisの繊細さと表現力が凝縮された1曲となっている。
この曲は、いわゆるラッパー然としたハードなリリックとは違い、
感情の輪郭ごと描いたような言葉で成り立っている。
「ラッパーって格好つけたい生き物やけど、
あえてそれとは真逆の“弱ってる時の俺”を書いたことで、
逆に俺の“本来の部分”が見えたと思ってるっすね。」
Rezis Walkerのパンチラインは、見た目の派手さじゃなく、“心に残る残像”で殴ってくる。
その本質が最も表れているのが、この「Scared of love」なのかもしれない。
──「絶対みんなの印象に残る」って、最初から分かってた。
「Molly n Ho3って曲があるんすけど、あれは結構もう、自分の中で代表作って感じなんすよね。」
Rezis Walkerがそう語るその曲は、Pvrple Hyxeとの共作で生まれた。
制作の始まりは、シンプルだった。
「先に俺がフック作って、“誰かこのノリに乗ってくれるやついないかな?”って思って。
それでPvrple Hyxeが浮かんで声かけて。
リモートで軽く作った感じだったんですけど、完成した時に“あ、これ絶対残るな”って確信ありましたね。」
実際、アルバム制作中だった彼はこの曲をリード曲として設定。
スニペット動画やSNSでの拡散も意識的に仕掛け、
「絶対にみんなの印象に残るように」戦略的に打ち出していった。
「TikTokとかでも“やべー”みたいな反応多くて。
今、自分の中でも代表曲になってるっすね。」
Watch me! Watch me! Watch me! Watch me!….
── タイトルだけで食らわせる。それが“彼氏よりも俺に返信早い”。
Rezisがもう一つ「自信作」として挙げるのが、
挑発的なタイトルが目を引く「彼氏よりも俺に返信早い」。
「この曲も“タイトル勝ち”って言われるくらい強くて。
中身もちゃんと刺さるように考えて作ってるんで、
ふざけてるように見えて、実はガチなんすよね。」
一見軽やかな印象のある2曲だが、どちらにも通底するのは、
「ふざけてるフリして本気」というRezisらしさ。
「俺、笑えるけどカッコいい曲とか好きなんで。
そういうの、もっと突き詰めていきたいっすね。」
── 「やばい仲間が、ちゃんと“地元”にもいるんすよ。」
Rezis Walkerの音楽には、孤独だけでなく“共鳴”がある。
彼が名古屋で出会い、育ってきた仲間たちとの関係は、いまの作品にも色濃く滲む。
● Jjerry Sullivan ── “はじまりから一緒に”
「再生数が100いったらいいぐらいの時代から、ずっと一緒にやってるやつっす。」
名古屋にラッパーの知り合いが一人もいなかった頃から、
Rezisと“2人で”音楽を始め、少しずつシーンを築いてきたのがJjerry Sullivan。
「マジで一緒に成長してきたって感じ。今は“Fall in luv”とかやってるっす。」
● Hella Wavy Mafia ── “1週間に1回は遊ぶレベル”
最近名古屋で結びつきを強めているクルー、Hella Wavy Mafia(ヘラウェイビーマフィア)。
「最初は存在だけ知ってて、会ったこともなかった。でも最近マジでつるむようになってて、
1週間に1回は絶対遊ぶぐらいの仲になってきた。」
このクルーは“日本じゃ他にいないようなアンダーグラウンドな音”を鳴らす存在として、
Rezisの次のアルバムにも参加している。
● Skii1ed24k── “ずっとバカやってたやつ”
「Skii1ed24k、こいつはラップ始める前からずっと一緒にバカやってた仲間で、
最近ラップ始めてめちゃくちゃかっこいいっす。」
ファッションでも親交があり、次作アルバムへの参加も決定済み。
“遊び”から“表現”へと連れてきた、信頼の厚い存在。

── “まだ語りきれない本編”の前に、音で残したかった感情があった。
「Prologueってタイトルは“序章”って意味なんですけど、
実際あれは、今メインで作ってるアルバムに入らなかった曲たちで構成されてるっす。」
Rezis Walkerが語る“プロローグ”には、単なる未収録曲の寄せ集め以上の意味がある。
それは、“次に進むために”過去の感情をちゃんと残しておく作業だった。
「アルバム作ってく中で、方向性がズレてきたりするんすよ。
でもその中でも気持ち乗ってるやつはたくさんあって。
“いまの気分”として、先に出したのがPrologueなんです。」
もっと名古屋っぽく、もっと多面的に。
次のアルバムに向かうために、自分の中の“過渡期の輪郭”を刻んだEP。
それが『Prologue』だった。

アングラの空気に感化され、音も意識も明らかに変わった。
「名古屋の今のシーン、マジでアングラな空気があって。
俺もそれにめっちゃ喰らって、自分の曲もガラッと変わったっすね。」
Rezisは最近、よりハードで、アンダーグラウンド寄りな楽曲を作っている。
それはトラップでもない、UKでもない、名古屋ならではの“濃度の高い音”。
「俺の曲、昔から聴いてくれてる人がいたら、“あれ?”って思うかもしれないっす。
でも最近の自分は、明らかにスタイル変わってて。
Prologueの曲たちも、かなりアングラ寄りだったと思うんすよね。」
ジャケットすら変えた。“見せたい自分”が変わってきたから。
「ジャケも、あえていつもと違う雰囲気にして。
オートチューンでメロウに歌うってより、
今回はハードなビートにハードなフローで乗る、みたいな。」
感情の整理としてのEPではなく、“方向転換の狼煙”としてのEP。
それが『Prologue』だった。
この作品は、Rezis Walkerが“名古屋”に立脚しながらも、
それまでの自分を壊して、次の自分をはっきりと見せ始めた瞬間の記録だ。
『Prologue』とは、ただのイントロダクションではない。
終わりの余韻と、始まりの予兆が重なる、“中間地点の叫び”なのだ。
── 繊細な感情が生み出す音楽、その先へ
● 1. アンダーグラウンドが、表舞台に立つ時代を作りたい
「正直、オーバーグラウンドよりアンダーグラウンドの方がかっこいいと思ってるっす。」
Rezis Walkerは今のシーンに対して、明確な“逆転の展望”を持っている。
それはただの反骨ではなく、「現場で感じるリアルの強さ」への確信だ。
「いずれアンダーグラウンド側にいる自分たちが、メインストリームに立つ時代を作りたい。
そのとき、“アングラ”って言葉自体がもう要らなくなると思うっす。」
● 2. 自分の音で、誰かの“はじまり”になれたら
「ラップやりたいって思ってくれる子が出てきたら、マジで泣くっす。」
彼が語る理想のリスナー像は、“今の自分”ではなく、「2年前の自分」。
苦しんでいた、音楽に救われていたあの頃のように、
Rezisは今、救う側に立ちたいと思っている。
「誰かが俺の曲を聴いて、“あ、始めてみようかな”って思ってくれたら、
それがたぶん、俺にとって一番デカいことっすね。」

● 3. 一人じゃ意味がない。“みんなで上がる”ことが夢
「仮に俺だけが売れて、お金あっても……
友達が売れてなかったら生活合わなくて楽しくない。」
彼は繰り返し言う。「みんなで上がりたい」と。
「ほんとにヤバいのに、埋もれてる仲間がいっぱいいる。
そういうやつらをフックアップできるぐらい、自分が売れたい。」
Rezisの夢は、自分が“扉”になって、仲間を通すこと。
それができる存在になること。
● 4. 自分を一言で表すなら──“繊細な感情が生み出す音楽”
「I am music とか、そういう感じでもいいっすけど……
やっぱ、“繊細さ”がテーマっすね。」
ふざけたラインも書く。ハードな曲もやる。
けど、その芯にはいつも“感情”がある。
「繊細な感情が、音を作ってる。それが一番しっくりきます。」

● 5. Worldwide Skippaとの共鳴と、次なるアルバムの予兆
「俺の初めてのミュージックビデオ、スキッパくん(※Worldwide Skippa)
と撮ったやつなんすよ。」
Rezis Walkerが“これから”の話をするとき、そこには必ず仲間の名前が出てくる。
その中でも、とりわけ熱がこもっていたのがSkippaとのコラボレーションだった。
「今後上がるMVがあって、それを皮切りにアルバムの動きも始めていくつもりっす。」
“内緒で”と一度は笑いながら口をつぐんだものの、
その先にあるビジョンは明確だった。
ミュージックビデオという視覚表現の解禁、
そして、Rezis Walkerにとって“本当の意味での”次回作──
地元との繋がり、仲間との共鳴、自身の回復と進化を経て放たれる、次なるアルバム。
そこには、これまでのような“閉じた痛み”だけでなく、
“外に向かって響かせたい音”が、きっと詰まっているはずだ。
── 「繊細」からの脱却?
“アンダーグラウンド”という枠から始まり、
“感情”を武器に音を作り続ける21歳のラッパー。
誰かの背中を押せたら。
仲間全員で、音の上に立てたら。
そして、“繊細”であることを恐れずに響かせられたなら。
その日が来た時、Rezis Walkerはどうソレを表現するだろうか?

Rezis Walker(レジス・ウォーカー)
名古屋出身、2003年生まれ。
Trapを軸に、感情の揺らぎを言葉とメロディに刻むラッパー。
2023年、破綻寸前の生活の中で制作したアルバム『BATS DON’T SLEEP』でシーンに台頭、
翌年のアルバム『UNDE RGOAT』では、セラピー的な制作姿勢のもと“回復”をテーマに据えた。
2025年には『Prologue』を発表。
本編アルバムに至るまでの“過渡期”を記録するように、
よりアンダーグラウンドなテンションと現在地の空気感をパッケージングした。
代表曲「Molly n Ho3 (feat. Pvrple Hyxe)」「彼氏よりも俺に返信早い」では、
荒削りなユーモアと切実さが交差するパンチラインで注目を集める。
“繊細な感情が音を作る”という言葉を体現しながら、
Rezisは今日も、生き延びるためにマイクを握る。
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